数分もしないうちに、ボルトは城までの坂を駆け登ってしまった。
ボルト、すごい!
この体力といい速さといい、これってやっぱりここが異世界だから?
すると王子は厩舎へは行かず、森が隣接する庭へと向かった。
まだ庭をお散歩するのかな?
その庭は芝生が綺麗に生え揃い、通路は石畳み。
通路の両側には、彫刻がいくつも連なっている。
これはもしかして一角獣?
その隣は、見事なプロポーションの美しい女性。
さらには翅の生えた妖精まで。
それらの中央となる場所には、彫刻と同じく白の大理石でできた噴水が、清らかな水を噴き上げている。
水は太陽の光を反射して、空中でキラキラと宝石のように輝いた。
通路をしばらく進むとカカオ王子は、長い脚でボルトから、また見とれてしまうような身軽さで降り立った。
これはあたしも降りた方がいいのかな?
トライしてみるものの。
「あと、えと……」
さっき言ったように、馬に乗ったことのないあたしは、ボルトからうまく降りれず、あたふたしてしまう。
すると、それを見かねたカカオ王子が、あたしの腋の下に腕を差し込み、軽々と下ろしてくれた。
慣れない感覚に、顔が赤くなってしまう。
なんだか、王子に比べたらスマートじゃないし、子供扱いされているみたいだけど。
「ボルト」
「ブルル」
王子様が、ボルトの身体をポンポンと軽く叩くと、ボルトは王子様に擦り寄り、いなないた。
そして、針葉樹の生い茂った森の奥へとあっという間に消えていく。
「ボルト、森に行っちゃいましたけど……大丈夫ですか? 迷ったり……」
それでも平然としている王子様は、サラリと言う。
「大丈夫だ。 あいつは、賢い。 俺が呼べばすぐに来る」
「そうなんですか」
王子様は、そのままスタスタとお城へと向かっていくので、あたしもとりあえずついていくことにした。

![あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]](https://www.no-ichigo.jp/img/member/684618/kvlyibwqof-thumb.jpg)

