あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。





「わたくしに隠し事なんて……ローズは悲しいですわ、カカオ様」



 よよよと泣く真似をする姫。



「なぜ、まおのことを知っている」



 自分で思っている以上に、低い声が出てしまった。


 敬語はどこかに吹き飛んでしまっていた。


 それでも、姫は動じず、俺も気にならない。


 
「それに、“事が思い通りにいった”って、どういう……」

「すぐにわかるはずですわ」



 姫は扇を取りだし、顔を扇ぐ。


 すぐにわかる……?


 なにが……。


 そのときだった。



〈カカオ!〉



 脳内にボルトの叫び声にも近いような声が響き渡った。



「どうした!」



 今日は、ボルトはウェズリアにいて、ついてきてはいない。


 ボルトの声は、焦っていてうまく聞き取れない。


ボルトの焦りが移ってしまったのか、声に出さなくても会話はできるのに、それを考える前に声が飛び出す。



「落ち着け! なにがあった!」



 こちらも声が大きくなる。


 しばらくすると、ボルトは落ち着いたようで、深呼吸をひとつした。