あれからというもの、俺はほとんどの時間をオスガリアで過ごしていた。


 王の策略なのか、俺は姫(『“ローズ”と呼んでくださいませ』と言われたが、俺は姫と呼んでいる)とふたりきりの部屋に押し込まれる。


 姫も、俺を結婚する気にさせるためか、あの手この手で迫ってくる。


 馬に乗って、泉まで言ってみようと言われ、(もちろん環境は最悪で、綺麗なんてものではなかった)


 料理を作ってみましたのと、ムリヤリ食べさせられた(焦げ焦げで、無残な食べ物に見えないものが出来上がった。 そして、後日出てきた完璧な料理は、明らかに使用人の作ったものだった)。


 とにかく、姫たちは俺をオトそうと必死だった。


 それでも、心が微塵も揺らがなかったのは……あのときのまおの笑顔。


 何かをこらえるような、今にも泣きそうな、悲しげな笑顔。


 そういえば、最近はまったく会えていない。


 まおはどうしているのだろう……。