あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。






 そのとき、フワリと空気が変わった。


 なに?


 まるで、別の世界に入ったみたい。


 すると、ブワリと光があたしたちを包み込んで……周りの景色が一気に変わった。



「わ、ぁ……!」



 思わず、感嘆の声が、口からもれてしまう。


 目の前に広がっていたのは……。


 
 大きな街全体を包み込んでしまいそうな大木。


 その木の枝は、ほどよく街に影を落とし、その葉の間から木漏れ日が漏れていて、澄んだエメラルドグリーンの川が、街並みを縫うように流れている。



中世の西洋で見るような美しい白い石造りの街並みは、いつかあたしが見てみたいと思っていた想像そのままだ。


魔界だっていうからさっきの場所みたいに環境が悪いんじゃないにしても、もっと箒に乗った人とか、魔法が飛び交っていると思ってたけど、どうやら違うみたい。


街の人々も、普通に地球にいる人たちみたいに生活していた。


本当に中世ヨーロッパに来たみたいだ。


あたし、異世界にトリップしたんじゃなくて、タイムスリップしたんじゃないの?


そう疑ってしまいたくなるくらい。


やっぱり魔界っていっても、あたしが読んでた本とは違うのかなぁ?

 
 そして、カカオ王子は、ボルトの手綱を器用に操ると、街の門へと向かう。


 中世ヨーロッパ風の銀色の鎧を着込んだ槍を持つ門番が見えてきたかと思うと、門の前で交差されていた槍が持ち直され、門は音もなく開いた。


何もしないで門が開いたってことは……やっぱり……。


この人は王子様だ。


国の外から不審な人物であるあたしを連れて来たのに、難なく国の中へ入れさせたもの。