あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。






 王子様は、一瞬息を止めた。


 そんなにあたしが質問してくるとは思わなかったのだろう。


 それでも、やっぱり質問には答えてくれる。


優しい……のかな。



「俺は、カカオ」

「カカオ……」



 チョコレートの原料のイメージ図が咄嗟に頭に浮かんだ。


カッコいい風貌とは違って意外と甘い名前に、ちょっとびっくりしたけど。


チョコレート、大好物です。


もしかして、王様がチョコレート好きだったのかな?


というか、こちらの世界にチョコレートあるのかな?


妄想が変な方向に膨らんだ。


一つ気になりだすと、やめられないのがあたしの悪いクセだ。


 
「あの、あなたはあたしをどこに、どうして連れていくのですか?」




彼の背中に聞こえるように大きな声で語りかける。


 だんだん景色がキレイになってきて、緑が増えて来た。


 森に近づいてるのかな。


 さっきの薄汚れたような空気とは、明らかに違う。


 
「魔界へ向かっている。 さっき、『そなたは喚ばれた』と言っただろう。そなたを連れていくのは、そなたの、その青い瞳。それが理由だ」

「っ!」



 あたしは思わず、空いていた右手で右目を覆った。


 あたしの目は、確かに青い。


外国人とかに見られる緑っぽかったり、グレーに近いのともまた違う。


正真正銘の、青。


まるで澄んだ海のような青なんだ。


 あたしの母親は、西欧系の人だ。


 父親は、普通の日本人。


 つまり、あたしはハーフなのだ。


 母さんの遺伝で、あたしの目は青いと聞いていた。


 髪は、父さんの遺伝で黒い天パ。



 二人とも、あたしが物心がつくまえに亡くなってしまった。



 目が青いから、この異世界に呼ばれたってこと?


 どうして?


 疑問が、脳裏に浮かぶ。