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それは、遡ること半日前。
俺がいろいろと書類整理など公務をしていたとき、窓辺に降りて来た薄鈍色の伝書鳩から手紙を受けとった。
なんだ、これ。
その手紙は装飾はなく質素で、最初は大臣たちから来た手紙だと思っていた俺は、拍子抜けしてしまった。
裏を見てみれば、見たことのある印。
これは……オスガリア……?
驚きのあまり、俺は慌てて伝書鳩が飛んできた窓へと駆け寄った。
誰かが、この国に侵入しているんじゃないか……。
イヤな予感が脳裏をよぎる。
魔力で辺りに気配がしないか、探ってみたが、特に怪しいものを見つけることもなかった。
警戒しつつ、手紙を開いた。
そこには、シンプルな文が綴(つづ)られていた。
【ウェズリア王子 オスガリアに今日の正午、王子単身で来ていただきたい。 戦いをしたいわけではない。 話し合いをしたい】
だいたいこんなような内容だ。
たぶん、オスガリアの王からの手紙だ……。
『話し合いをしたい』
なにを、考えているんだ……?
これでのこのことオスガリアに向かえば、囚われるかもしれない。
なんと愚かな王子だろうと、嘲笑われるかもしれない。
それでも、こんな直接話すことのできるチャンスはなかなかない。
行かないわけにはいけない。
俺は伝書鳩に、新たに手紙を書くと、足首の装飾の部分にくくりつけた。
「頼んだぞ」
バサバサと、伝書鳩は大きな翼を広げ、大空に飛び立った。

![あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]](https://www.no-ichigo.jp/img/member/684618/kvlyibwqof-thumb.jpg)

