あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。






***



 それは、遡ること半日前。


 俺がいろいろと書類整理など公務をしていたとき、窓辺に降りて来た薄鈍色の伝書鳩から手紙を受けとった。


 なんだ、これ。


 その手紙は装飾はなく質素で、最初は大臣たちから来た手紙だと思っていた俺は、拍子抜けしてしまった。


 裏を見てみれば、見たことのある印。


 これは……オスガリア……?


 驚きのあまり、俺は慌てて伝書鳩が飛んできた窓へと駆け寄った。


 誰かが、この国に侵入しているんじゃないか……。


 イヤな予感が脳裏をよぎる。


 魔力で辺りに気配がしないか、探ってみたが、特に怪しいものを見つけることもなかった。


 警戒しつつ、手紙を開いた。


 そこには、シンプルな文が綴(つづ)られていた。



【ウェズリア王子 オスガリアに今日の正午、王子単身で来ていただきたい。 戦いをしたいわけではない。 話し合いをしたい】




 だいたいこんなような内容だ。


 たぶん、オスガリアの王からの手紙だ……。


『話し合いをしたい』


 なにを、考えているんだ……?


これでのこのことオスガリアに向かえば、囚われるかもしれない。


なんと愚かな王子だろうと、嘲笑われるかもしれない。


 それでも、こんな直接話すことのできるチャンスはなかなかない。


行かないわけにはいけない。


 俺は伝書鳩に、新たに手紙を書くと、足首の装飾の部分にくくりつけた。



「頼んだぞ」



 バサバサと、伝書鳩は大きな翼を広げ、大空に飛び立った。