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 俺は、戦場にいた。


 今回のオスガリアの兵士は、普段の倍で武器も過去の物と比べれば、格段に強力なものだ。


 俺は、護衛隊の第一部隊を連れ、先頭に立ち、魔術師を仕切った。


 俺の方にばかり、進軍してくるのは、すぐにわかった。


 俺はウェズリアの指揮官的存在だ。


 俺を捕らえるか、討ち取れば、ウェズリアはオスガリアのもの。


 しかし、オスガリアになど渡すわけにはいかない。


 このウェズリアは、魔力を持つものたちの唯一自由に生きていける場所だから。


 そのサーチェルには、ウェズリアとオスガリアとルクティア、三つの界がある。


 ウェズリア以外にも、魔力を持って生まれてくる子供は少なくはなかった。


 魔力を持って生まれてくると、親でさえもその子を忌み嫌い、バケモノ扱いする。


「奇妙な子だよ! 近寄るな!」

「おい! なんだかいきなり風が吹いて、吹き飛ばされた!」

「気持ち悪い!」

「近寄るな!! バケモノ!」



『バケモノ』



 その言葉が、どれだけその子を傷つけているのかも知らないで……人間など、自分勝手だ。