「その魔力の所為なのか……格別な味がするな。 他のより甘く、力がつく……」

「これで、いい?」

「ムリにしゃべらなくていい。 血はもらった。 もう大丈夫だ。 結界を解いてくれ」


 アルバートの声と共に、何とか結界を解く。

 
 すると、すぐにアルバートの姿が視界から消えた。


その場で高く、跳躍したのだ。


 そして……カカオを囲っていた兵士を後ろ回し蹴りで一撃で吹き飛ばす。


 ……今の、直接兵士を蹴ったわけじゃない。


 風圧だけで……兵士は吹き飛んだ。


どう!という重々しい音を響かせ、兵士たちは気を失って地面に倒れこむ。


 そのままアルバートはカカオと何か話していた。


 よかった……カカオは無事だった……。


 なんだか、安心した。


 ホッとすると、プツンと緊張の糸が途切れて……。


「まお様!? クコ! まお様が!」

「えっ、すぐ行きます!」

「おい! まお!」


 意識が途切れていく中、リカエルさん、クコ、シュガーの声が、遠くの方で聞こえた気がした。