あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。






「もしかして、召喚されたものか……?」

「へ? 今なにか?」

「いや、なんでもない」



 顎に手を当て考え込んでいたかと思うと、顔を上げた彼は鬣が特に美しい黒馬から、軽やかに降り立った。


その動きすら優雅で見惚れてしまう。


これが、二次元ではなくリアルだとは……。


ああ、ここは天国か。


どなたかこの様子を撮影してください。


あたしはいくらでも眺めることができます……。


コートの裾をはためかせ、こちらに歩みを進めた王子様はあたしの前に立った。



「そなた、名をなんという」

「あたしは……藤谷麻央です」

「ふじたに、まお? ああ、地球では苗字というものがあるんだったな」



 王子様は、頷くとあたしをまた碧眼で見つめた。


 その美しい顔にドキリと胸が高鳴ってしまう。


本当に、喋って動いてる……。


喋っている言葉が通じているってことは、彼が日本語を喋っているということだろうか。


あまりにも流暢な言葉で、金髪碧眼の王子様が喋っているというのに違和感がなかった。


これがリアルだっていうんだから信じられない……。


二次元じゃないんだよ⁉︎



「そなたは、なぜここに来たのかわかるか?」

「へ? それは、あなたと結ばれるために……」

「……なに訳のわからないことを言っている。 そなたは、喚ばれたのだ」



 よばれた?


 この王子様じゃなくて?


 わからなくて、あたしが首を傾げると……。



「っきゃ!」

「とにかく、城へ行こう」



王子様の長い腕が、背中にで回ったかと思うと……。


 あたしは王子様に抱き上げられ、黒い馬の背に、彼と共に乗せられた。


 彼の後ろに乗せられたので、自然と彼に抱き着く格好になる。


 人の体温を感じ、不思議と自分の体温も高くなる。


うわわ、リアル王子様によるリアルお姫様抱っこ!


それに、馬の相乗り……。


どうやらあたしのスクールバッグも拾ってくれていたらしく、王子の背中とあたしのお腹で挟んで落ちないように固定した。


なんだかテンションが上がってしまったあたしは、ここぞとばかりに質問をする。



「城って、どこですか? この魔界から連れ出してくれるんですね!」



 ありがとうございます!


 心の中で礼を言う。


 すると、彼は動きを止めた。