ボタンをあらかじめ外しておいた軍服の襟をアルバートはゆっくりとはだけさせ、肌が露わになる。


彼の手は、まるで氷のように冷たく、触れられた場所からじょじょに熱を失っていくようだ。


アルバートは頭を下げて、首筋に顔を寄せる。


白銀のさらさらの髪が、顔から首筋にかけて散らばり、くすぐったくて思わず目を閉じた。

 
「っ……!」


 アルバートの熱い吐息が首筋に当たり、力が抜けた。


 彼はあたしの肌に唇をつけた。


 そして──。


「く……っ!」


 ズブリと、牙が肌を突き破った。


 激痛が走り、あたしはアルバートのマントにしがみつく。


しかし、そんなことを考えて要られたのも一瞬で。


思考回路が停止し、感覚もぼんやりとしか認識できなくなる。


 耳もとで、ゴクリ、ゴクリと血を飲み下す音がする。


 アルバートは二、三口、血を吸うと、しばらく堪能するようにその場に唇を這わせていたが、最後の一口を飲み込むと首筋から頭を離した。


 そして、首筋から鎖骨にかけてこぼれ落ちて流れていた血をキレイに舐めとった。


 頭がぼんやりとしてしまう。


 霞む視界の中でアルバートが不敵に、妖艶に微笑するのが見えた。