あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。




「アルバートなら、できるでしょ?」

「……できないことはないが……」


 そういったアルバートは、一瞬顔色を暗くする。


 どうしたの?


「ムリなら、いいの」


 あたしがそういうと、アルバートは顔を上げた。


「いや、大丈夫だ。まお、その依頼を受けよう。しかし、その働きに見合う褒美を君がくれないか」

「それはもちろん。 でも、あたしがあげられるものなんてそう高価なものはないよ?」

「高価なものでなくていい。 前払いになってしまうが、今この場でもらえるものだ」

「え──?」


今この場であげられるもの……?


「まおの血を──吸わせてくれないか」


 ここは戦争で、目の前ではあたしの大切で大好きな人が危機的状況に陥っている。


 なのに、目の前の美しいヴァンパイアは、助けたいのなら血を捧げろという。


 しかも、本気で。


〈やめろ、まお! そいつの言うことなんて聞くな!〉


シュガーが心の中で怒鳴っているのが聞こえる。


しかし、シュガーも他の兵と戦っている最中で、すぐに会話が途切れてしまった。


 ここは、どちらを取るべき?


 自分を取るのか、大好きな人をとるのか……。


 そんなの、決まってる。


「──いいよ」


 あたしは、正面からアルバートを見つめると、力強く……頷いた。