あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。



 あたしたちが向かったのは、小高い丘の上で、今まさに戦争の真っただ中、という感じだ。


 ドンパチやってる中に突っ込んでくのは、怖いけど……そんなこと言ってるヒマなーい!


 自分に何とか言い聞かせ、恐怖心を胸の奥底に封じ込め、あたしは防御結界を身体を覆うようにしてかけると、前へ進んだ。


 同じようにして、防御結界で身体を覆った二人に続く。


 リカエルさんは槍を片手に堂々と、クコはリカエルさんの後ろに隠れるようにしている。


エルフ族は槍、弓の使い手が多い種族。


魔力も強いが、その強靭な身体は俊敏で武器を使わせれば叶うものなどいない。


 実際、オスガリア兵が剣を片手にリカエルさんに戦いを挑めば、先端を丸くしてある槍で急所を突かれ、もしくは後頭部を殴打され、皆力なく地面に倒れこんだ。


「あっ、あれ!」


 丘の頂上付近で女の子が地面に倒れ、うずくまっていた。

 
 あたしたちは慌てて彼女に駆け寄った。


 そして、抱き起こす。


 すると、女の子はわずかにまぶたを動かした。


「大丈夫? 何があったの?」

「ぅ……」

「ムリにしゃべらなくていいわ。 とりあえず、治療を。 クコ!」


 女の子は、肩から出血していた。


 それは、黒のコートの中に着込んだ白のワイシャツをすっかり染め上げてしまっている。