あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。




あたしも準備をしなくてはいけない。


掌に魔法陣を呼び寄せると、横へ突き出した左手から右手にかけて身体を通り抜けていく。


たちまち簡易的な軍服から、魔女の正装として配られたウェズリア軍隊の軍服を身につけていた。


今回は布地が余るほど豊かなマントは簡略化させてもらう。


「シュガー!」

〈おう!〉


まだ宙に浮いたまま残っていた魔法陣に向かって黒猫が走り、飛び込む。


転がり出てきたのは、赤毛の少年だ。


あたしと同じ黒を基調とした軍服。


長いベルトが尻尾のように靡き、あたしの軍服と特に違うのはその上着で、フードがついている。


その隙間から、あたしとの契約の証である黒の首輪がチラリと見えた。


「訓練やらずに本番きちゃったじゃん」

「やっぱり準備はちゃんとやらなきゃダメだね」


緊張感を解す為だろうか。


心なしか、二人とも会話がポロポロと零れ落ちる。


再び沈黙が二人の間を支配した。


「……シュガーのこと、信じてるから」

「俺だって、まおのことを信じる」


あたしたちなら、大丈夫……。


出陣はもうすぐ──。




***


「それでは、参りましょう」


 城全体へ指示を出し、もしもの時に備えて城の警備を強化したリカエルさんの掛け声で、シュガーは箒になると、あたしはシュガーに跨がった。


 クコも自分の使い魔を箒に変化させ、跨がる。


 リカエルさんは使い魔を箒ではなく槍に変え、それに跨り空へと舞い上がった。

 
「戦場へ!」