恐る恐る顔を上げ、バリトンボイスの持ち主を見上げる。
彼は……。
身長が154センチしかないあたしからすると、見上げる形になるくらい大きい170センチ後半くらいの身長。
黒い軍服のような服を纏ったその身体は、細身なのに、引き締まっている。
同じように黒くて長いコートから、スラリと伸びる長い足には、黒い編み上げブーツが履かれている。
全身は漆黒で覆われているのに、髪だけは違った。
紅い紅茶に白いミルクをたっぷり注ぎ込んだような淡く柔らかく綺麗なミルクティー色。
光が当たると、きっと透けて透明にすら見えてしまうかもしれない。
コートに落ちる、肩につくかつかないかくらいの長さの髪が、風にさらわれてサラリと流れた。
そして、自分の目を疑ってしまうほど美しい、この世のものとは思えないその顔。
スッと真っ直ぐ下に引かれた線のような鼻を中心に左右が整い、その下には薄紅色の形のいい艶やかな唇が位置している。
少しつり上がった眉の下には、長めのミルクティー色の髪の下からのぞく、澄んだ空のような青にエメラルドグリーンがかった碧眼があり、その碧眼が、あたしの瞳を見つめた。
そう。
彼はまさに、『王子様』だった。

![あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]](https://www.no-ichigo.jp/img/member/684618/kvlyibwqof-thumb.jpg)

