あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。



隊員たちは、不思議そうな表情で歩み寄ってきて事件が終わったことを悟った。


「これ、どうなって……」

「大丈夫。 眠らせてるだけだから。 あとはドラゴンの住んでた場所がわかればそこに転送すれば良いだけだと思う」

「まおさん」

「はい」


隊員たちに説明していると、いつのまにか、フランさんが隣にいた。


「まったく、貴女も無茶をしますね」

「あはは、すみません……」

「防御結界が出来るなんて知らない僕らは心臓が止まりそうでしたよ」

「すみません、実はあれもぶっつけ本番というか……一か八かの勝負だったんです……」

「……では、防御結界が発動できるか正確にわからないのにドラゴンの焔を甘んじて受けた、と」

「……はい」

「貴女は、バカですか?」

「ばっ!」


フランさんが、あの優しい雰囲気のフランさんが暴言⁉︎


彼は眉根を寄せて、あたしを叱る。


「誰が己の命を差し出せと言ったんですか。 たしかにまおさんがとった行動以外、ドラゴンを傷つけずに済ませる方法はなかったでしょう」


フランさんの眉は下がって、悲しみを瞳に宿した。


「けれど、それで貴女が傷ついていたなら、元も子もないじゃないですか……」

「ごめんなさい……」


あたしのことを思って叱ってくれているのだとわかり、ようやくあたしも自分の行動を反省した。


黒猫が、肩によじ登ってきた。


省エネのため、黒猫姿に戻っていたシュガーだった。


〈……猪突猛進すぎるんだよ〉

〈……うるさい〉

〈心配、かけさせんな〉

〈ごめんね〉


謝ると、尻尾で顔面をビンタされた。


〈これでチャラ〉

〈……はい〉


「ところでまおさん」


ドラゴンの転送先に目星をつけたらしいフランさんは、隊員たちに転送を命じたあと、隅で座っていたあたしの横に腰を下ろす。


「どうやってドラゴンを眠らせたんだい? そういう系統の魔術は専門的に学ばないとできない代物だろう? そんなものまでメイド長に習ったの?」

「あ、いえ、違います。 魔術を使って眠らせたんじゃなくて……お恥ずかしながらあたしは実は何もしてなくて。 やってくれたのはアカシ──〈魔女の証〉なんです」

「〈魔女の証〉……?」


ちょっと見ててください、そう言って立ち上がると、右手を横に振る。


するとたちまち手の中に木でできた杖が収まっていた。


「〈千年霊木〉はウェズリア全域に根を伸ばし、魔力を供給してくれるもの。〈魔女の証〉が〈千年霊木〉からできていることはご存知のはずです。 だからアカシもその魔力の根に干渉できるんです。どんな生き物もウェズリアでは魔力が宿っています。 だからその力を使って、ドラゴンの中の魔力の流れをちょっといじって気絶に近いような眠りに……」

「いろいろと便利なんだねぇ……」

「アカシの力が強いのでなかなか操りきれず、大変です」


どこか羨むような視線に、あたしは笑って返すしかできなかった。