あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。




再び、ドラゴンと護衛隊たちの戦いに目を移す。


護衛隊たちはドラゴンをできる限り無傷のまま戦いを済ませたいため、直接ドラゴンを攻撃する大出力となる魔術を発動できない。


しかし、相手は容赦なく己の武器を使って向かってくる。


しかも、ドラゴンは翼の生えている種だ。


足を捉えるように土を盛り上がらせたり、蔦を地面から生やして捉えようとすると、飛んで空に逃れてしまう。


フランさんは厳しそうな表情で、その戦いを見つめていた。


「こうなってくると、基本的には羽を痛めつけて空へ飛べなくして、魔術で地面に固定するのがいい」


どうやら、作戦を練っていたようだった。


低く呟かれた言葉は、悲しい決断だ。


「それじゃあドラゴンは二度と空を飛べなくなってしまいます!」

「しかし、ほかに方法がないんだ。 グズグズしていると王都に侵入されてしまう」


怒り狂ったドラゴンは、破壊衝動を持っているだけ。


普段は温厚でも、怒り狂った今では何をしてくるのかわからないのだ。


それしか方法がない?


そんなの、嫌だよ。


どうにかして、傷つけずに助けてあげられる方法。


何か思いついて! あたしの頭!


何か!


ガン!と拳を作った手で頭を叩くと、鈍い痛みが腕に走った。


「──これだ」

〈どうした?〉


未だ箒姿のままで、あたしの手の中にいるシュガーが、問う。


「フランさん、ほかの作戦、思いつきました」

「ほかの作戦? どんな?」


あたしが説明しようとしたとき、ドラゴンの咆哮が空気を震わせた。


「ぐはっ」


鋭い鉤爪の一撃を食らった隊員が、その勢いで吹き飛ばされる。


「テレンス!」


焦った様子で彼は吹き飛ばされた隊員の名前を呼んだ。


ほかの隊員が彼に駆け寄り、ドラゴンから距離をとらせる。


どの人も、悪戦苦闘している。


説明してる暇、ないか……!


ええい、一か八か!


「フランさん、あたしに任せてください!」

「ちょっと、まおさん!」


迷ってる暇なんてない!


フランさんの制止を振り切り、シュガーを地面に下ろすと、ドラゴンを真正面から見据えた。


「今の敵はあたしよ!」


ドラゴンの瞋恚の目は、赤く、我を失っている。


一方前に踏み出すと、ドラゴンは低く、喉を鳴らす。


「ほかの方は離れてて!」


鋭く言い放てば、未だにドラゴンに立ち向かおうとしていた隊員たちがたじろいだ。


「でも!」

「いいから!」