あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。




焦ったような声が聞こえ、その魔物と応戦しているためか、相手の声は一旦途切れてしまう。


眉を寄せたフランさんは魔方陣を消し去り、声を一段階低くした。


「魔物か……とりあえず、西区に向かおう」

「はい!」


隊員は、鋭く応答し、敬礼する。


「まおさんも、行くことになるけれど、 大丈夫?」


一瞬、フランさんはこちらを振り返る。


青の瞳が、あたしを捉えた。


『大丈夫?』


その言葉は、心配の言葉ではない。


これは、仕事なのだと、甘えて逃げる事は許されないのだと、あたしに言い聞かせるための言葉だ。


「──っはい!」


負けじとその瞳を見返し、強く頷いた。


「行くよ」


彼は踵を返し、先に駆け出した隊員2人を追う。


前回、戦場に出た時は、己のエゴで動いた。


しかし、今回は違う。


今度こそ。


今度こそ、この力を使うときだ。


「まお、行くぞ」


シュガーが、こちらを見やり、共に駆け出す。


すでにフランさんの後ろ姿は遠くなっており、追いかけるだけで精一杯だ。


彼らは異様に足が速く、運動能力では才能に恵まれていないとしか言いようのないあたしにとっては追いつくことなど不可能に近い。


こうなったら。


「シュガー! お願い!」

「今回だけだぞ!」


その言葉だけでシュガーは、あたしの意図を汲み取り、走りながら黒い箒に変化する。


「ありがと!」


宙に浮いてあたしの走る速度と同じ速度で空を駆ける箒を手に取ると、すぐさま跨った。


シュガーが黒猫になれば、あたしが魔女だとバレてしまうけど、使い魔を道具に変化させる事はどの魔術師も行うことだ。


これなら、バレる心配はない。