あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。



けれど、そんな様子を見せたのは心の中だけで。


流石はシュガー。


顔には出さず、笑顔で誤魔化し場を平和に収めた。


おかみさんとの話も深くなる前にお暇し、城下町の市場の通りを見回り終わると、次のとおりに向かう。


「フランさん、慣れてますね」

「そう?」

「すぐに町の皆さんと仲良くなっていて、すごいです……」

「こんなの、どうってことないよ。 世間話から情報を得られることの方が意外と多いからね、話術は鍛えておかないと」


彼はさらりと言って躱すけれど、それだって容易いことではないはずだ。


体術、魔術だけでなく、こういった面でも護衛隊の隊員は優秀であることを、痛感させられる。


見回りを始めて一時間。


各自の持ち場を見終えたら、城下町の中央にある日中は出店も立ち並ぶ広場へ集合することが決まっていた。


あたしたちの持ち場は特に問題もなく、時間通りに広場に辿り着く。


するとそこにはもう一組が着いていて、そちらも問題なしのようだった。


もう一組もそろそろつくだろう。


そんな会話をして10分。


一向にその組が姿を現さない。


時間厳守な軍の規則により、遅刻などご法度。


しかも、軍の精鋭が集められた護衛隊ではもってのほかだ。


サボるといったことをしない真面目な隊員が多いため、隊の中で不穏な空気が漂い始めた。


「何かあったのか?」


出店に気を取られていたシュガーがお好みのものがなかったのか、こちらに戻ってきてキョトンとした表情を浮かべる。


「わかんない」


あたしもそう返した時だった。


「!」


けたたましい警戒音が、広場に鳴り響く。


音源は、フランさんの目の前に現れた小さな魔方陣。


「応援を要求します!』


彼が魔方陣を開くと、聞こえてきたのは隊員の声だった。


「どうした、何があった」

『我々、西地区担当、凶暴化した魔物が暴れているとの話を聞き、現場に急行しましたが、とても2人では抑えきれません。 応援を要求します!』