あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。




相変わらず城下町は人で賑わい、活気がある。


色鮮やかな服を着た人が行き交う中、漆黒を纏った護衛隊はある意味目立っている。


しかし、これが見回りだと知っている町民は、怪しがらず、笑顔を向ける。


「今日もありがとよ!」

「憲兵さんたちのお陰で街には被害がなくて助かっているよ」


それにフランさんは微笑と共に手を振って返す。


あたしたちは憲兵ではないけれど、いちいち否定することもしない。


護衛隊であると言ってしまうと、王族の警護の際に不都合なことが起きる場合があるからだ。


あえて名乗って面を割らせてしまうよりいい。


「マダム、何か困っていることはある?」


通りを歩きつつ、町民とコミュニケーションを取ることも大切だと、フランさんは言う。


城下のことは、町民に聞くのが一番だからだ。


フランさんはその柔らかい物腰で、果物屋のおかみさんに微笑みかける。


女ったらしってわけじゃないだろうけど、その可愛らしいマスクと、親しみやすい口調、雰囲気で相手の警戒心をいとも容易く解いた。


「困ったことかい? 特にないねぇ……この前盗みを働いたチンピラどもも憲兵さんがちゃんと捕まえてくれたからねぇ、平和そのものさ!」

「平和なら良かった。もし困ったことがあったら遠慮なく言って。 力になれるだろうから」

「ありがとよ、お兄さん! そちらのお嬢さんとボクも若いのに偉いね!」


突然話を振られ、あたしは思わず肩を強張らせた。


〈ぼ、ボク……〉


心の中に、シュガーの落ち込んだような言葉が響く。


黒猫姿でいると、あたしが魔女であることの証明になってしまうため、シュガーは今人間姿だ。


美少年だが、それは確かにどちらかというと年の割には幼い風貌で、小さい子供だと間違われても仕方がないだろう。