けれども、会わないわけにもいかなくて。
今あたしは、カカオの部屋の前におります。
ええ、ばっちりわかりますとも。
部屋の中からあの濃い魔力がムンムン匂ってきます。
拳を固く握り締め、身体の前で構える。
しかし。
「──っ!」
どうしても、叩くことができない。
というか、カカオにはあたしがここにいること魔力の気配でバレてるんだろうなぁ……。
「まお? どうした?」
「っ⁉︎」
案の定、中から声がしてあたしの肩は跳ね上がる。
「用があるなら、入ってこい」
「……うん」
というか、なぜカカオはこんなにも自然にしているのだろう。
あたしみたいに、気まずいとかなんとかないの?