「先程我らの領域に入り込んだ可愛い子猫がおりまして。 うっかり私の失態で森の中で眠らせてしまい、そのままでは可哀想なので森の外まで運んだのですが、様子が気になりましてね」
そういったアルバートはあたしにわかるようにパチリとウインクを投げてよこす。
こ、子猫って……!
それに、さっきと様子が違いすぎて驚いた。
さっきは、視線だけで人を射殺してしまいそうな眼力だったのに、今は柔らかくそのフェロモンを撒き散らしている。
それに、森の外まで運んでくれたの、アルバートだったんだ!
「軍の者が失礼したようだ。 失礼を詫びよう。 しかし、きたのはそれだけではないのだろう」
カカオの言葉に、アルバートは挨拶の姿勢を正し、表情を真剣なものに改める。
「──最近、クライヴの森の周りで、戦争が起きていますが、我々としたら、爆発音は聞こえるわ、森は破壊されるわ、それに濃い血の匂いがしてきて、ヴァンパイアとしては堪らないのです」
あ、そっか。
ヴァンパイアの主食は血。
吸血衝動にかられて大変なのかも。
「だから、どうしろと?」
カカオは警戒したまま、低い声を出す。
「戦争を止めていただけませんか」
「俺たちだって、戦争はしたくはない。 オスガリアの攻撃を食い止めることに全力を尽くしているのだが、こちらの魔術師たちに疲労が見えはじめ、このままではウェズリアも危ない。 魔女であるまおを召喚したが、まおはまだ実戦慣れしていない」
「魔女……?」
アルバートは不思議そうな顔で、あたしを見つめる。
紅い瞳に見つめられると、ドキリと胸が高まってしまう。
美形すぎるんだよ~……。
「【魔使い】【魔法使い】【魔術師】に次ぐウェズリア全ての魔法使いの頂点に立つもの。 魔力も桁違いの創世の魔法使いだ」
カカオの言葉を聞いたアルバートの形のいい眉が、ピクリと動く。

![あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]](https://www.no-ichigo.jp/img/member/684618/kvlyibwqof-thumb.jpg)

