「あれ……?」
「どうしたんだ、まお」
あたしが覚えているのと違う……。
あたしは確かに森の中で、あのヴァンパイアによって眠らされた。
絶対あの人、なにかしたよね。
魔法、みたいな。
「あたし、覚えている限りだと、森の中で寝ちゃったんだよね」
「それっ、本当か!」
「う、うん」
突然血相を変えるカカオに、あたしは頷く。
「……誰かに、出会わなかったか……?」
「それは──」
「──ヴァンパイア」
「っ! 誰だ!」
あたし達の声以外の声が響いて、あたし達は一斉に辺りを見回す。
カカオとシュガーが、あたしたちを守るように囲んだ。
突然、窓が開いて、ブワリと風と赤い薔薇の花びらが舞い上がる。
「なんだ!」
「お邪魔しますよ、王子様」
この声──!!
「アルバート!」
「覚えていてくれたんだな、お嬢さん」
フワリと窓枠から部屋の中に優雅に降り立つ人物。
それは、あの森で出会ったヴァンパイア。
「なに、しに来たの……?」
ベッドから動けないあたしは、魔力を高めて相手を警戒することしかできない。
「そんなに怯えなくてもいいぞ、危害を加える気はない」
そう言うアルバートの紅い瞳がより一層、紅く輝いた。
恐怖を覚えるほど美しい、魅惑の美貌……。
「お前は……!」
カカオが警戒心を剥き出しにする。

![あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]](https://www.no-ichigo.jp/img/member/684618/kvlyibwqof-thumb.jpg)

