村人たちの相手をし終わった後、教会への帰り道



小さな村なので、教会まで遠くはない。

私は、道行く人々に挨拶と笑顔を振りまいて歩いていた


そうして見慣れた、街の大教会とは比べ物にならない程度のこじんまりとした教会に辿り着いた


木製の戸の前に人影が見える


あれは………

「アレク、どうしたの?」


教会の近くに住む、アレクだった

アレクは私の声に振り返り、ぱっとその頬を緩ませる


「ベアトリーチェ!!待ってたよ」


と言って、急に私の首に腕を回した


「えっ」


予期せぬアレクの行動につい声を漏らしてしまったが、アレクはすぐに離れ、ニコッと笑う


「うん。ベアトリーチェには赤がよく似合う」



赤…?
アレクの視線の先、私の首元に視線を向けると


「綺麗…」


金のチェーンで繋がれた、赤い石のはめられたペンダントが首にさげられていた