禁忌の翼


「ベアトリーチェ!!!
何故アレクに抱きついている!??!」

それまで沈黙を保っていた包丁男は突如怒りの声を上げ、走り寄ってきた。



男はベアトリーチェの髪を掴み、俺の腕から引き剥がした。


「ベアトリーチェっ
お前、彼女に何をする!!!」

俺は男に殴りかかろうとしたが、男はベアトリーチェの髪を掴んだまま包丁を俺に突きつける


「アレクぅぅ!ベアトリーチェは俺のものだ、汚い手で触るな!!」


ベアトリーチェの顔は苦痛で歪んでいて、顔色は真っ青だ


頭に血が昇ってくる

何なんだこの男は!!


「ベアトリーチェはお前のものではない!
離せ、今すぐ離せ!!」

「黙れよ!
彼女は俺のものだ!身も心も、全て俺のものだ!!
アレク、お前さえいなければなあぁっ!!!」


男が包丁振りかぶった。


咄嗟に後ずさるが、服に切り目ができた


「やめてええええ!!」


髪を掴まれたままのベアトリーチェが暴れ出す。

それに男は宥めるように、一転として声を和らげて語りかけた


「ああ、いけないよベアトリーチェ。
大人しくしようか?
アレクはすぐに始末するから、ね。

そうしたら、君は昨夜みたいに俺を求めてくれるよね

今度こそ、俺の名を呼んでくれるよね」


ベアトリーチェが、目を見開き、より怯えた顔になった