ベアトリーチェの必死の声を遮るように、男の声がした。


その瞬間、ベアトリーチェの表情が恐怖に凍りつく


声の方に振り返ると、不気味な眼光を散らす、とても正気とは思えない男が包丁を手に、丘の上の俺たちを見上げていた。


ベアトリーチェがガタガタと震えだす

「その痣は、あいつがやったんだね?」


声が震えた。


許せない。


大切な、大切な友達を傷つけられた。

ベアトリーチェは震えながら、うつむいた。

それを肯定とみなす。

俺はマリアからそっと手を離し、丘の下の男へゆっくり歩みだした。


それにマリアは驚愕した


「アレク!!何してるの!?
逃げましょうよ!
その男の手の包丁が見えないの?!」


「やめてください!!マリアさんの言う通り、逃げて…!

私が、私が行きますから!!」


ベアトリーチェが俺の前に回り込み、宥めるように腕にしがみついた。