慌てて立ち上がろうとしたが、恐怖で足がすくんで動かない。


「〜〜っっ!!!!」


情けない、もどかしい!


元はと言えば、私が軽率な行動をとったからだ


たぶらかしたのアレクではなく私


あの男の気持ちを利用して、私がアレクとマリアのことを忘れようとしたから。


男の気持ちを弄んだことについてはいっさい罪悪はない。


アレクに危害が及びそうなことだけがただただ心配。


動け、動きなさい!


私はすくむ足に叱咤し、近くの棚に縋り付きながらようよう立った。


「…………よし」


どうにか歩けそう。


早く男を追いかけなければ。


アレクからのネックレスを取り返して、アレクを男から守って、それから……


それから?


今日は、アレクがマリアに何をする日?



愛しいアレクが、憎いマリアにプロポーズする日……