「本当に、本当に申し訳ないのですが、昨夜のことは忘れてください。
私は、あなたを愛してもいないのに、あなたを弄ぶようなことをしてしまった。
最低のことだとはわかっています。
でも、あなたの愛は受け取れないのです…ごめんなさい、ごめんなさい…」
微笑みを浮かべていた男の顔がみるみる青ざめていくのに構わず、とにかく、一刻も早くこの男を追い出そうとした。
男の私への恋心は知っていた。
そんな中、私に弄ばれるようなことをされ、これ以上ここに留まろうなんて思えないでしょう。
この不貞を口外されては困るが、私がこれまで以上に敬虔に、「聖女」をこなせば信じる者はそう多くはならないでしょう。
しかし、私の期待は裏切られた。
青ざめていた男は、絶望のあまりか両手で顔を覆ったかと思ったら……
笑いだした。
大声で。
狂ったように。
「あはははははははははははははははははははははははははははあはあはあははははははははははははははははあははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「?!!」
「ベアトリーチェ、何を言ってるんだい!?昨日君は俺のことが好きだ、愛してるって言ってくれたくせに!!」
?!
「ああ、照れているんだね?!
本当に君は可愛い!!!!!」
突如胸に抱き寄せられた。
男の手が、私の体をまさぐるように動くのを感じ、気持ち悪さに思い切り押し飛ばす。
「わ、わた、私は!!!!本当に、あなたのことは愛してない!!!!!
触らないで!!!!!」
怖い
こんなに強い恐怖を感じたのは生まれて初めてかもしれない。
それほど、男は恐ろしい形相で私に迫っているのです。
「ベアトリーチェ!!!!!!!」
押し飛ばされた男は、目を剥いて、大声を出した
刹那
私の頰に熱が走った。
それと同時に、私は地面に叩きつけられていた。
「っ…………!!?!?!えっ?」

