「あ、の!」


私は、背に触れる男の手をなるべく優しく振り払い、歪みそうな口元を手で隠しながら尋ねる。



「私、昨日…その、泉であなたと会った後からの記憶があまりないの。

あの後、どうしたのでしょう?
あなたは、何故私の家にいるの?」


「ああベアトリーチェ、つれないことを言わないでおくれ。

昨夜はあんなに熱く愛しあっ「やめて!!!!!」


思わず遮ってしまった


でも、耐えられなかったのです。


あまりに………



気持ち悪すぎて。

男は呆気にとられている。
私は体裁を繕うためにもすぐさま


「その、は、恥ずかしいので、その後のことを……」

と、顔をうつむかせて言う。


それを聞くと男は察してように、「可愛らしいなあ」と笑って私の髪を撫でた



触らないでください………


その言葉が喉から出かかりそうになるのを必死にこらえた



「あの後、君は気絶してしまったんだ。
恋しい君を抱くことができて、俺も手加減ができなくてね…ごめんよ。

近くに君の家があることは知ってたからね。そこに運ばせてもらったんだ。」



…じゃあ、この寝巻きはこの男に着せられたのですね……。


「まさか、君への想いが実るなんて思わなかった!
ベアトリーチェ!!好きだ、愛している!!」

そうして、私に口付けようとした。


すかさず、手で制して

「ごめんなさい、私は、あなたの気持ちは嬉しいのですが…
その気持ちは受け取れません」


はっきり、目を見て言う。


あれは気の迷いだと、相手に強くわからせるために。