僕は神社にいた。誰にも泣き顔を見られたくなかった。そんなとき、目の前に時計をくわえた猫がいた。その時計を僕の前に置いたかと思うとすぐにどこかへさっていってしまった。瞳は青くて毛が黒色の不思議な雰囲気をもった猫だった。その猫が置いていった時計をひろいあげて見てみると、不思議な部分がひとつあった。見た目は普通の腕時計で、汚れもみあたらず、針が時を刻んでいた。不思議なのはその時計が半時計回りをしていることだ。僕は夢を見ている気分だった。何のために時計があるのか僕は知っている。時間を確認するためだ。でも、そんな不思議な時計に僕は興味を持てるような気持ちではなかった。好きだったクラスメイトにフラれたばかりなのだ。