こんなのワガママかもしれないけど
私が康毅のことを好きっていうこの気持ちが全てなかったことになるなんて嫌なの。



だから、せめて伝えさせてほしい。




ワガママでごめんね。ごめん‥。





康毅は教室に呼び出しといた。



夕暮れの教室に足を踏み入れる。



「康毅はまだかぁ‥‥」



窓から見えるみんなの姿。

きっと、これからカラオケ行ったりご飯を食べに行ったりするのだろう。



もう‥‥、この席に座ることはないんだ。


康毅にバカってたくさん言われながら勉強した机。


心は遠いのに、いつも2つの机はピタッとくっついているんだ。




「‥‥明奈?
何用事って」




「‥‥康毅!
もう遅いよ〜」




康毅は待ち合わせの時間よりかなり遅れて登場した。





「あのね‥‥私、康毅と隣の席で嬉しかった。楽しかったよ」




本当に毎日学校が楽しくて、土日なんていらないのに‥‥って週末がくるたびに思ってたっけ。




「‥まあ、俺も楽しかったよ。
明奈おもしれーし」




そんなに可愛く笑わないでよ。
バカ。





「だから‥‥これ受け取って‥‥っ?」



四つ葉がかかれた便箋を康毅の胸におしつける。



ダメだ‥‥これ以上康毅の顔をみているときっと私は泣いてしまう。