洋平が教室に戻ると、教室の一番後ろの席で爆睡してる三人。

 暁月と瑞稀と咲夜。

 洋平の小学校からの親友であり、中学時代の不良仲間だ。

 その中でもずば抜けて目立つのは、身長189センチの大柄な暁月。

 バスケ部に所属してる暁月は、一年生ながら琉華とともにレギュラーメンバーに選ばれ、バスケに置いては自他ともに認める天才だ。

 先生は、三人が爆睡してることにかなり腹を立てているように見えた。

「起きろ」

 洋平は先生に気を遣って、三人の頭を順番に小突いて起こした。

「おー、よーへー」

 瑞稀と咲夜が大きなあくびと伸びをしてる中、暁月は眠そうな笑顔で洋平に話しかける。

 暁月は入部当初から琉華に喧嘩をふっかけ続け、琉華はそれを鼻で笑い、お互い犬猿の仲だった。

 それが今では恋人同士。

 何がきっかけかはわからないが、天才同士通じるものがあったのだろう、と洋平は思っているが、洋平も暁月が好きなだけあって琉華の存在を快くは思っていない。

「授業中は起きてろ」

 洋平は暁月の隣の席に座ってそう言った。

「おー」

 返事はするが、頬杖をついている暁月の目は微睡んでいて今にも寝そうだ。

 結局、数分としないうちに三人ともまた寝てしまった。

 洋平はため息をつきながら暁月の寝顔を見つめて、やはり自分も眠りに落ちた。