「……昔に比べると、ずいぶん丸くなったな」 「そう? 結構可愛い子供だったでしょ」 「よく言う。百戦錬磨のじじばばも真っ青だったぞ」 「仕方ないよ。環境が環境だったから」 せっかく笑い飛ばしたのに、雅宏さんが柄にもなく悲しそうに眉尻を下げた。 「俺が担当する前の……あの若造のせいだな」 「雅宏さん、それはもういいって」 「だが、お前をあんな風にしてしまったのは俺たち大人のせいだ。……あんな実験、知っていれば絶対にさせなかった」 「雅宏さん」 もどかしくなって、少しだけ声の調子を張る。