プルルルルッ!



「わっ!」



 突然の音に飛び跳ねる。


 すぐ電子音の正体に思い当たった私は脱力し、受話器を取った。



「はいもしもし、紅林で、」


《Hello,セラちゃんっ!》



 ……え。この声って……。



「お母さん!?」


《That's right!! 久しぶり! 元気にしてた?》


「うんっ! お母さんも元気でそうよかったー! あ、そうだ。まだイギリスなの? お父さんがヨーロッパのほうに旅に出たんだけど」


《ああ、そのことなんだけどね…………え、ちょっとあなた!》


「え」