《治療は一刻を争う。少しでも短時間で医療機関に運び込むことは鉄則だ。 だが、負傷者はうちではなく、わざわざ離れた八神医院に搬送されている》 「それは、どういう……」 《うちはこの区域でも大きな病院だ。疎ましく思われていても仕方ない》 「……ちょっと待てよ、親父!」 混乱してきた。胸騒ぎがする。 それなのに、こんなときに限って頭がよく働く。 「それは、タダ先生が裏で手を引いて、患者を盗ってるってことか!?」 父は、否定しない。