聞き覚えがあるのに、低く冷たい声が身を震わせる。


 呆然としているうちに強い力で腕を引っ張られて、城ヶ崎から引き離された。


 抱き寄せられた先。

 顔を上げて、そこにいたのが若葉くんだっていう理解がやっと追いつく。



「自分の不甲斐なさを責めるのなら、他人を巻き込むな。それも『甘え』だ。城ヶ崎」



 城ヶ崎はキッと若葉くんを睨みつけたけど、



「…………くそっ!」



 次の瞬間には、きびすを返してあっという間に走り去って行った。



「困ったものだね……平気?」


「……ごめんね」


「セラちゃん……?」


「……しばらく、1人にさせて」



 若葉くんの気遣いも、優しさも、なぜか感じてしまう罪悪感の前では、どうしようもなかった。