アレでもセラってすっげーいいヤツだから、変な目で見んなよ!


 そう郁人に釘を刺された。


 なんだか嬉しい。

 そんな言葉が聞けたのは何年ぶりだろう。

 彼が誰かに懐くのは、母や兄、そして自分以外になかったから。



「私ではあまりみなさんにお構いできないので、楽しそうで何よりです」


「何を言うんですか。先生はいつも来てくれるじゃありませんか」


「そうですよ。お忙しいのに、迷惑かけてるのはこっちなんですから……」


「気にしないでくださいフデさん、 ミエさん。好きでやっていることですから」


「でもそうやってアタシたちに構うから、先生は自分の生活に気が回せないでしょ」



 ハナ言葉に、何だか怒られているような気分になる。

 30も半ばを過ぎた男が、1人で一体何をしとるのかと。