声のしたほうを見ると、校門のそばに少年の姿を見つける。



「い、郁人くん! どうしてこんなところにいるの!」



 私が声を上げれば、少年――郁人くんはかったるそうに歩み寄ってきた。



「俺がここに来ちゃいけないわけ?」


「そういうことじゃないけど……」


「迎えに来た。帰るよ、セラ」



 ポカンとする私の隣で、スッと細まる黒曜石の瞳。



「それは一体、どういうこと……?」



 若葉くんが厳しい面持ちで郁人くんに詰め寄ろうとしたまさにそのとき、突然鞄から振動が。

 スマホを引っ掴み、通話ボタンをタップする。