「動くな!」

幾つもの自動小銃の銃口を向けられ、邪悪は立ち止まった。

朽ち果てた観覧車の前。

すっかり客足が途絶え、営業終了して放置された夜の遊園地の廃墟。

そこが今夜の邪悪の塒となる筈だった。

「無粋な奴らだ…人の寝所に土足で上がり込み、あまつさえ銃口なんぞ向けるとはな」

薄笑みすら浮かべる邪悪に対し。

「黙れ!」

怪異駆逐対策局の隊員は、怒り心頭といった様子で吠えた。