「いえ、特に」

セシルはあっけらかんと言う。

何か考えているようでいて、実は意外と何も考えていない。

『…優秀なスナイパーと聞いていたのだがな…』

やや呆れた物言いの対策局長。

過大評価だったか。

「でもっ!」

セシルは声を大にする。

「『現場百回』、確か日本の警察の言葉でしたよね?捜査に行き詰まった時は現場に立ち戻るっていう」

彼女はまず、邪悪の思考を知りたかった。

どんな風に考え、どんな風に行動し、どんな風に一個中隊を全滅させたのか。

そこから邪悪の、化け物としての性質を知ろうとしたのだ。