それは、詠唱だった。

呪文詠唱。

常人には不可能な手法や結果を実現する力の行使の際に使用されるもの。

エネルギー法の任意の制御の一形態。

神秘的で超常的な力または行為。

深遠な原理が背景に存在するとされるもの。

総じて、ただの人間には理解し難いもの。

所謂『魔法魔術』を行使する際に必要不可欠とされるものだった。

高度で複雑な魔法大系ほど長く難解な呪文詠唱が必要とされ、術者はその難解な詠唱を、如何に簡略化して短時間で素早く行使するかに心血を注いだ。

ある者は人間の発する言葉とは別の言語を使用して、ある者は呪文を短縮して、ある者は魔法自体を武器や道具に込める『魔術品』や『霊装』にして。

強大且つ神秘に満ちたその力を、何とか御しようと研究を重ねた。