ゆっくりと歩を進めながら。

邪悪は語った。

「手を斬る、足を斬る、頭を潰す、心臓を潰す…そんな当たり前の事をして、俺が殺せると思ったか？祓魔師」

倒れたヨセフの胸倉を摑んで引き摺り起こし、もう一度殴打！

ヨセフは地面に薙ぎ倒される。

「そんな人間の常識程度の範疇で、化け物を殺せると思っているのならば大きな間違いだ。わかっているのか？祓魔師」

ヨセフの髪の毛を鷲摑みにして、またも引き摺り起こす。

「貴様が今相手にしているのは化け物だぞ？蜂の巣にしても、焼き尽くしても、叩き潰しても死なない、灰にして、その灰を四散させて、完全に跡形もなくしても、その灰の一粒からでも甦る真の化け物だ。徹底的に破壊し、消去し、消滅させても死なない化け物だ。そんな俺が…」

ヨセフの腹にめり込む、邪悪の拳！

「そんな生温い事で屠れると思ったか、人間！」