と。

「俺を…どうすると?」

声が聞こえた。

渋くダンディな、特徴のある声色。

しかしその声は、どこかヨセフを嘲笑っているかの如く聞こえた。

嘗てセシルに対して、『この男』がそうしたように。

見上げるヨセフとセシル。

夜空には満月。

そしてその満月を背に、一人の男が屋上に立っていた。

黒の長髪、紅いインバネスコート。

口元は、三日月のように口角がつり上がる。

男は言った。

「祓魔師、この俺の眷属を連れ回すとはいい度胸だ」