と。

「ヨセフさん」

セシルが壁際に立った。

「私がアシストしますから、先に上に昇って下さい」

踏み台になるので、よじ登れという事らしい。

「……」

化け物とはいえ、女を踏み台にして自分が先に昇るというのは気が引けたが、本人がそうしろというのだ。

遠慮なく。

ヨセフは助走をつけ、セシルの背中を踏み台代わりに蹴って跳躍。

何とか数メートル上の屋上へと戻った。

「さあ、次はお前だ」

上から手を差し伸べるヨセフ。

しかし。