黒十字、邪悪なり

ゾロターンカスタムを置いたセシルもまた、ゾンビやグール相手に奮戦していた。

真祖特有の鋭い爪で、ゾンビ達の額を貫き、頭を握り潰す。

アンデッドとして、真祖はゾンビよりも遥かに格上だ。

幾ら素手とはいえ、負ける道理はなかった。

一坪のスペースに犇めくように存在した生ける屍達は、見る見るうちにその数を減らしていく。

四方の壁に飛び散る体液、腐臭のする血。

凄惨な殺戮現場が出来上がる頃には、ゾンビ達は全滅していた。

「余計な手間だったな」

小さく溜息をついて、ヨセフが言う。

「ごめんなさい、私がヘマやらかしたせいで」

しょげるセシルに背を向け、ヨセフは見上げる。

再び上に戻るには、少々高すぎる。

よじ登るにしても、足場がない。

壁に囲まれ、扉や出入り口もない。

一体どうしたものか…。