狭く薄暗い通路を走る。

足元もはっきり見えず、汚水が流れるコンクリート剥き出しの通路。

突然走ってくるヨセフとセシルに、溝鼠達が驚いて逃げ出していく。

戦闘で手傷を負っている二人だ。

長くは走り続けられない。

何より。

「おい!放せ!」

ヨセフはセシルの手を振り解いた。

「何のつもりだ!」

彼は呼吸を乱すセシルに向かって叫んだ。