振り下ろされる鍼!

その鍼が。

「!?」

突然の音なき一撃によってへし折られた!

身の危険を感じ、一旦セシルから離れるヨセフ。

…通路の奥から、真紅の双眸が爛々と輝くのが見えた。

何たる強烈な殺気、そして禍々しさ。

これ程の殺意は、久し振りにお目にかかる。

「こ、こんな下層に…お前が現れるなんて…」

喀血しながら呟くセシルの前に。

「祝福儀礼の施された銀製の鍼で貫かれて、まだ喋れるのかよ…なかなか化け物らしくなったじゃないか、お嬢ちゃん」

腐敗し、焼け爛れた壮絶な顔の持ち主が姿を現した。