「熱いか、痛いか、苦しいか。それこそが神の戒め」

化け物とはいえ、若い娘が苦痛に喘ぎ苦しんでいる。

それでもヨセフは眉一つ動かす事なく、ゆっくりと歩み寄る。

「女の身を嬲る趣味はない。これでトドメとしてやろう」

彼は再び逆手持ちの鍼を振り上げた。

中枢神経の集中する、頸椎を一撃で貫く気だ。

只の針ならば、その程度で化け物は死なないが、この銀製の鍼ならば化け物でも致命傷になる。

何度も口にしている通り、この鍼は化け物を滅殺する為の武器なのだ。

「灰塵と化せ。そして俺の家族に詫びて来い」