「わかった」

セシルに向かって頷くヨセフ。

「じ、じゃあ帰ってもらえるんですかっ?」

ぱぁっ、と表情を綻ばせるセシルに対し。

「俺が貴様を滅殺してやる」

ヨセフはもう一度鍼を構え直した。

「貴様が人間を殺せない、殺したくないというのならば丁度いい。俺の手で駆逐して終わりにしてやる」

ヨセフの眼が、ギラリと鋭く光る。

「化け物は一匹たりとも生かしておく訳にはいかない。肉片一つ、毛筋一本さえもこの世に残しておく訳にはいかない」

「そ、そんな…」

ヨセフの冷徹な発言に、セシルは震え上がる。

思わず後ずさるものの。

「っ!」

既に張られた結界によって、それ以上の退路は断たれていた。