黒十字、邪悪なり

日が一日中当たらず、ジメジメと湿気の強い空気が漂う光明街。

けばけばしい化粧の娼婦達が、男を誘うような目つきで立っている。

そんな中を、黒の修道服に身を包んだ若い男が歩く。

神に仕える者が、こんな日差し一つ差し込まない場所を歩くとは、何とも不似合いであった。

滑稽とさえ言える。

事実娼婦達は煙草…阿片かもしれないが…を吹かしながら嘲笑の色で男を見つめる。

「Did a priest come here what to do do?(神父がここに何しに来たの?)」

外国人らしい娼婦が、ゲラゲラと品のない笑い声を上げながら、男を罵った。