開発途中で放棄された都市。

その後も何度か、再開発プロジェクトが持ち上がり、工事が再開されるものの、その度にプロジェクトの関係者が変死した。

まるでこの都市の開発を邪魔するように。

いつしか噂されるようになる。

『あの都市には、10年経った今も大災厄の呪いが残っているのだ』と。

その噂を真に受けたのかどうか。

再開発プロジェクトを謳う者は二度と現れなくなった。

何度も頓挫したプロジェクトの、途中放棄された工事のせいで、都市の通りには勝手に引かれた電気、電話線、アンテナの同軸ケーブル、下水道といったライフラインが無計画に管となって張られ束で頭上を通過した。

建築に関する法律は高さ制限以外一切無視され、無謀な増築が繰り返された。

防災といった観念は一切考えられていなかった為、建物が折り重なり、日の光が一日中入らない部屋や窓のない部屋が普通であり天井を連なる水道管や電線がカオス状に広がっていた。